ChatGPTを業務で使うとき、最初に必要なのは高度なプロンプト集ではありません。まず必要なのは、社員が迷わず守れる社内ルールです。
中小企業では、便利なツールほど現場で先に使われます。誰かが試して、便利だと感じ、社内に広がる。それ自体は悪いことではありません。
ただし、顧客情報、見積、原価、契約内容、未公開資料を扱う業務では、ルールがないまま使うと危険です。ITC南とうほく事業協同組合では、生成AI導入支援の際に、ツールの使い方だけでなく、業務利用の前提となるルールづくりも重視しています。
社内ルールは、禁止よりも「判断できる形」にする
ChatGPTの社内ルールというと、長い規程を作るイメージがあるかもしれません。しかし、現場で使われるルールは、もっと具体的である必要があります。
たとえば、次のように分けると社員が判断しやすくなります。
- 入力してよい情報
- 加工すれば入力してよい情報
- 入力してはいけない情報
- 出力後に必ず人が確認する情報
大切なのは、「AIは危ないから禁止」ではなく、「ここまでは使える。ここから先は確認が必要」と線を引くことです。
印刷業DX支援で見えた、AI利用前に整理すべき情報
当組合メンバーは、年商20億円規模の印刷業におけるDX支援にも関わってきました。印刷業では、見積、原稿、校正、デザイン、外注、納期、請求など、顧客ごとの情報が多くの工程を流れます。
このような業務でChatGPTを使う場合、便利だからといって、顧客名や未公開原稿、見積金額、原価情報をそのまま入力することは避けるべきです。
一方で、顧客名を伏せた相談内容、社内向けの一般的な作業手順、公開済みの商品説明、匿名化した問い合わせ内容であれば、文章整理やチェックリスト作成に活用しやすくなります。
現場で本当に必要なのは、「ChatGPTを使ってよいか」ではなく、「どの情報なら安全に使えるか」を社員が判断できることです。
決めておきたい社内ルール1: 入力禁止情報
まず、入力してはいけない情報を明確にします。
- 個人情報、採用応募者情報、社員情報
- 顧客名、取引先名、担当者名
- 未公開の原稿、図面、デザイン、企画書
- 見積金額、原価、値引き条件、契約内容
- 社外秘の会議資料、経営資料、財務情報
「何となく危なそう」では、社員は迷います。業務で出てくる具体例を使って禁止リストを作ることが重要です。
決めておきたい社内ルール2: 匿名化の方法
ChatGPTを安全に使うには、情報をそのまま入れない工夫が必要です。
たとえば、顧客名を「A社」、担当者名を「担当者」、具体的な金額を「概算金額」、商品名を「主力商品」のように置き換えます。固有名詞を外しても相談できる形に整えることで、リスクを下げながらAIを活用できます。
ただし、匿名化しても、複数の情報を組み合わせると相手が推測できる場合があります。地域、業種、案件内容、金額、時期などが重なる場合は、入力を避ける判断も必要です。
決めておきたい社内ルール3: 出力結果の確認責任
ChatGPTが作った文章は、もっともらしく見えることがあります。しかし、制度、補助金、契約、見積、法律、税務、労務などに関わる内容は、必ず人が確認しなければなりません。
社内ルールでは、次のように確認責任を決めます。
- 社外に出す文章は担当者が必ず読み直す
- 金額、納期、条件に関わる文章は上長確認を必須にする
- 制度や補助金の説明は公式情報を確認する
- AIが作った文章をそのまま顧客に送らない
特に中小企業では、社内の確認者が曖昧なまま使い始めると、ミスが起きたときに責任の所在が不明確になります。
決めておきたい社内ルール4: 使ってよい業務範囲
最初から全業務に広げる必要はありません。まずは、リスクが低く、効果を確認しやすい業務に限定します。
- 会議メモの要約
- 社内マニュアルの下書き
- 公開情報をもとにした文章案作成
- 問い合わせ内容の分類
- 研修資料、チェックリストの作成
慣れてきたら、社内で使えるプロンプト例、確認手順、禁止例を蓄積していきます。
決めておきたい社内ルール5: 教育と見直し
ChatGPTのルールは、一度作れば終わりではありません。社員が実際に使う中で、迷った場面、危なかった場面、便利だった使い方を集め、定期的に見直す必要があります。
最初は月1回、短い振り返りを行うだけでも十分です。「この使い方はよかった」「この情報は入力しない方がよい」「この業務はテンプレート化できる」といった知見を社内に残します。
ITC南とうほくが支援できること
ITC南とうほく事業協同組合では、ChatGPTや生成AIの活用を、社内ルール、業務整理、研修、運用定着まで含めて支援します。
関連サービス: 生成AI導入・活用支援 / IT導入・システム開発支援 / サービス一覧
ChatGPTの社内ルールを整えたい方へ
まずは、御社の業務で「使ってよい情報」と「入れてはいけない情報」を一緒に整理します。お問い合わせはこちら

